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コンパクトな債務整理

DIPファイナンスを実行するにあたっては、主要な既存債権者の意向を確認しておくことが望ましい。 一方、申立て直後は、主要な既存債権者(従来のメインバンク)であっても担保権行使や会社清算による回収を図るべきなのか、再生の方向を見極めて収益返済を受けるべきなのか判断が困難であることが多い。
したがって、既存債権者から再生の方向についてあらかじめコミットを得ることまではむずかしいが、少なくとも直ちに清算を指向しないこと、当面の事業価値を維持する点でDIPファイナンスが有益であるとの認識であることの2点については確認しておくことが望ましい。 ③経営責任と株主責任の明確化会社更生手続の場合には、欄・・・一と従来の経営者の退任は予定されているので問題ないが、民事再生手続の場合には、減資と経営者の退任は義務づけられていないので、経営責任と株主責任の明確化をどこまで要請するのかということが論点となる。
この点で参考とすべきは、2001年9月の「私的整理に関するガイドライン」の経営責任に関する規程である。 同ガイドラインによると、①経営者は退任することを原則としており、②支配株主の権利を消滅させ、その他の既存株主の権利も減増資により減少または消滅させる、としている。
民事再生手続の場合においても、再生計画に対する既存債権者の合意を得るためにも、また経営者のモラルハザードを回避する意味からも、同様の措置は必要となろう。 この点については実際の経営陣の意向を慎重に確認することが必要であり、具体的には融資契約締結に関してコペナンツとして明確にしておいたほうがよいと思われる。
ただし、既存経営者が再生過程における手腕を再評価され、既存債権者および新規出資者(スポンサー)のいずれからも支持されているようなケースにおいては、再生計画認可後の再任を妨げるものではない。 (C)その他融資手続上のポイント:DIP融資手続の全般について重要なのは、申立代理人、監督委員、管財人など弁護士とのコミュニケーションである。

特に融資、担保提供、共益債権化等の重要なポイントで監督委員、管財人、裁判所の合意を必要とする以上、彼らにDIPファイナンスの全体像と再生計画・更生計画における位置づけや、金融上のストラクチャーに関する部分について認識しておいてもらうことが重要である。 したがって、DIP融資の申込にあたっては、少なくとも申立代理人と直接意見交換することは不可欠である。
(d)融資条件:融資条件についてはケース・バイ・ケースであるが、申立て後の当面の運転資金へのDIPファイナンスの典型例を整理してみた。 ①融資対象資金・・・申立て後、再生計画・更生計画認可までの仕入資金、人件費などの運転資金を対象とする。
②融資総枠の設定:資金繰り見通しおよび適格担保から必要な融資額を積算し融資総枠を決定する。 融資総枠の決定にあたっては後述する引出可能期間の間に、融資残高が増減するコミットメントライン方式と必要に応じて総枠を分割実行する限度貸し方式が考えられる。
なお、DIPファイナンスには一種のアナウンスメント効果もあるので、DIPファイナンスの実施を契機として信用力が回復し、仕入サイドの与信期間が復活することなどにより貸付契約時に想定した融資総枠の相当部分を引き出さないですむ場合もある。 ③引出可能期間・・・通常は再生計画・更生計画提出の頃までを引出可能期間とすることが多い。
これは再生計画・更生計画が策定される頃には、申立て後の資金繰りも安定基調に転じている可能性が多いこと、主要な利害関係者との調整が行われ新スポンサーが決まるなど新しい局面に入ってきていることなどによるものであるが、具体的な事情に基づいて柔軟に検討すればよいものと思われる。 ⑥金利・手数料・・・DIPファイナンスの金利は、一般の融資に比べて割高な水準に設定されることが多いDIPファイナンスは、一般の融資による資金調達が可能になるまでのブリッジ・ローン的な性格を有しており、融資先が相対的に低利なリファイナンス資金の調達やその他余裕資金が生じた場合には返済をしたいというインセンティブをもたせ早期の資金回収を図るというExit戦略から、比較的割高な金利設定とするという事情がある。
手数料は、融資契約時点のアップ・フロントフィー(融資総枠×1ー3%)と、引出可能期間における未引出額の一定割合(末引出額×0.25%程度)を求めるコミットメントフィーを求めることが一般的である。 ⑤融資契約書:融資前提条件やコペナンツについて検討したうえで、担保関係契約とあわせて作成する。
申込み会社との問では、まずは基本的事項を盛り込んだターム・シートを提示し、重要事項については交渉を行いつつ契約原案を作成する。 一般的には法律事務所のリーガル・チェックを経て、関係者と調整しつつ成案を得る。
DIPファイナンスについては、契約ドキュメントの調整時間も全体のスケジューリングの際には念頭に置いておくことが必要である。 (2)再生計画・更生計画認可後のファイナンス:以上のような、「つなぎ資金」としての狭義のDIPファイナンスではないが、再生計画・更生計画遂行に必要なリストラ資金、設備資金に対するフアイナンスも事業再生過程には必要となる。

また、再生債権・更生担保権の一括リファイナンスを行い、法的手涜を早期に終結させることにより事業再生のスピードを早めバリューアップを図ることもある。 これらは、再生計画・更生計画を綿密に審査したうえでのバリュー評価を前提として、融資に取り組むことになる。
通常の企業取引と同様の形式で融資することが可能なケースもあるが、一般的にはバイアウト・ファイナンスの一類型としてストラクチャーを検討することになろう。 健全化/再建計画の作成前節までは、財務状況の悪化に直面している債務者企業が、損益の悪化、バランスシートの悪化および資金繰りの危機(第2章第1節の図表2ー2「債務者企業の破綻プロセス」参照)のそれぞれの段階で再建のためのどのような諸施策をとりうるかについて説明してきた。
本節では、第1節の図表3ー1「再建計画作成の流れ」に従い、自力再建シナリオまたは第三者(銀行またはスポンサー)の支援っき再建シナリオの評価を行った結果、事業再編等の再建ストラクチャーが決定し、第三者の支援についても理解を得られた債務者企業が具体的にどのような再建計画m成すべきかについて説明する。 再建計画とは第1節の図表3ー1「再建計画作成の流れ」を再度確認するが、企業再生の第一歩は、債務者企業が自己の債務者分析(第2章参照)を十分に行い、可能な限りの自助努力(リストラクチャリング)を実施して自力による再建の道をまず模索することである。
繰返しになるが、自力再建とは、キャッシュフローの改善や遊休部門・不動産の売却など自助努力によるものであり、これを行った結果、それでも再建が困難である場合に、(私的整理や法的整理における)金融支援やスポンサー支援が検討される。 このような企業の経営状態に則し、従業員や外部関係者などに提出される方針書について、本節では図表3ー30のように「経営計画」と「再建計画」に大別している(本節でいう広義の「再建計画」とは、整理段階に入ったか否かにかかわらず、自力再建の検討以後に作成されるものを総称している。
企業が健全である場合は、開示・非開示にかかわらず「第ⅩⅩ期中期経営計画」などという名称で数々の諸政策が掲げられるが、これが業績悪化等の要注意状態に転じた場合には、上述したキャッシュフロー改善化計画や部門売却による金融債務弁済促進計画が折り込まれた「再建計画」という形で関係者に提出されることになる。

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