塾 バイトのスッテプを活かして
面接を受けていると、時折「これはうまくいっているかも」と、内心小躍りしたくなるほど、相手からの手応えを感じる瞬間があるものです。
たとえば、何を言っても「そう、そのとおりだね」といった具合に、肯定の相槌がつづいて、しかも相手がニコニコ笑っているとなると、ついつい面接をパスしたと確信してしまいたくもなります。
しかし、こういう時に限ってなぜか不首尾な結果におわるものです。
あれほど、意気投合していたかに思えたにもかかわらず、です。
一体どこがマズかったのでしょうか。
この場合、どんな理由があったにせよ、とどのつまりは「相手に自分を採用するメリットを確信させるに至らなかった」という事実が残ります。
ここにも「相手が評価してこそ価値がある」という法則が成立していることを思い知らされます。
つまり、あなたがいくら「確信」に至っても、相手が「確信」しないことには、全く意味がないのです。
あなたとしては、相手を決して手ぶらで帰してはいけません。
「仮に~として」の問いかけに注意する「仮にですが、もしこの会社に入ったとして、あなたはどんな仕事がしたいですか?」面接試験を受けていくと、一度や二度はこのような質問を受けることがあると思いますが、そんな時のあなたは、よくよく注意して受け答えをしなければなりません。
なぜなら、あなたは「まだ面接試験に受かったわけではない」のですし、従ってこの会社の社員でもないのですから。
こういった、相手に都合よく「勘違い」をさせた上で、あなたの「本音」や「本心」を引き出そうとする質問が、正直一番やっかいです。
この手の質問のミソは、あなたは試験にパスしたも同然なのだから、もう遠慮しないで気楽に「本音でしゃべってね」と、ニセの仲間意識を演出するところにあります。
私の知人が以前、とある大手出版社を新卒で受験した時のことです。
面接官二人対候補者五人で行われたグループ面接で、まさにこの「仮に──」で始まる質問が出たそうです。
「先ほどから、女性誌や週刊誌に対するみなさんの熱い思いを伺っているわけですが、もし入社後に時代小説の編集を担当することになったらどうしますか」すると、彼以外の「みんな」は見事に面接官の術中にはまってしまいました。
あたかも自分がすでにそこの社員であるかのように、急に黙ってしまったり、「時代小説はあまり読んだことがないので…」と口ごもったりと、つい「素の自分」をさらけ出してしまったのです。
もちろん、この場合みなさんが考えるべきことは一つ、「とにかく受かること」です。
この、ごくあたり前のことをつい失念してしまい、「それは、ちょっと自分の得意な分野ではないので──」と答えてしまうと、「コイツ、まだ入社も決まっていないのに仕事の選り好みはないだろう」と、面接官からマイナス評価を受けてしまいます。
もちろん、後で冷静になって考えればよく分かることなのですが、相手の都合のいい仮定の前提条件に対して、それこそバカ正直に自分の本音・本心を暴露してしまっては、それこそ「敵の思うツボ」です。
ちなみに私の知人は、その時五人の中でただ一人このように答えたそうです。
「時代小説は割合好きで、特に池波正太郎の『鬼平犯科帳』と『剣客商売』は愛読しています。
池波先生がもしまだご存命だったら、直接お目にかかってみたかったのですがこうして彼は、この五人の中で一人だけ目立って、次の段階へ進むことができたのですが、実際の彼は、確かに池波正太郎の小説こそ読んでいたものの、他の作家の時代小説のことはよく知らなかったのです。
あとの四人も、出版社を受けようというくらいですから、時代小説作家の名前を一人も知らないということはないでしょう。
したがって、この程度の答えを返すことはできたはずなのです。
もちろん、時代小説をやりたい人間をまず落とす狙いがある可能性もなくはありませんが、普通に考えれば、わざわざ「仮に」の形式をつかってまでそうすることは考えられません。
ですから、面接官が放つ質問の意図を的確につかみ、それに沿って答えを返すことが、とりわけ新卒者面接の場合は必要となってきます。
ここで言えるのは、周りと同じ反応をすることの是非です。
もちろん、無難に周りと調子をあわせることは簡単なのですが、もし候補者がみな同じ行動をとったら、面接官にとって困る状況、すなわち「誰も落とせなくなる」事態になるからです。
もう一度言いますが、あなたの目的は、自分の気持ちを正直に喋ることではなく、試験に受かることなのです。
「もし、あなたが私の上司だとしたら、毎年の業績評価の目標はどのようにお決めになるのか、差し支えなかったらお聞かせいただけ一ますか」という「仮に~として」形式の質問はこのように、相手からより本音や本心を引き出すことができる、あるいは思考プロセスの確認ができるのが特徴です。
「間」と「沈黙」のテクニック私も時々講演をすることがありますが、不特定多数の人の意識を集め、それを長時間にわたって持続することは、意外と骨が折れることなのです。
そこで私は、会場の意識を集中させるためにある方法を用います。
それは大声を出すことでも、手を叩いて音を出すことでもない、ただ「しゃべらない」というやり方です。
話すことが当り前の人間が、全く話さないことで、「どうしたんだろう」「なにか気に障ることでもしたのだろうか」という、いわば疑問符のついた漣を、参加者の間に自然と、しかし力強く引き起こし、「意識の集中」を手に入れるのです。
聴衆の注意が、自然と講演者に向くよう「気づき」と「促し」を与えるわけですが、その気づきの最たるものが「話と話の間」であり、また相手が聞く準備ができるまでの「沈黙」なのです。
面接という、相手からの問いに当然応答することが求められている状況において、「黙っている」というのは、柏手にとってはいい知れぬプレッシャーとなりますから、「なにか不満があるのでは」「言い足りない部分があったのでは」と勝手に思いこんでつい喋りすぎてしまいがちです。
相手がなぜそのような反応をしてしまうのかというと、たいていの場合、相手側の方が末だ話し足りなかった部分があるからなのです。
慌てて不足している情報を補おうとするわけですが、もしもこのような「無言の督促」がなかったとしたら、必ずしもそのような行動にでたかどうか分かりませんから、時と場合に応じて利用できるテクニックといえます。
また、このテクニックは、話を繰り返させることによる「確認」「検証」作業にも使うことができます。
相手の答えをわざと「おうむ返し」することによって、相手のほうから勝手に対話を展開させるようしむけるテクニックがあります。
それは、たとえば次のように用います。
ただし、前述した「問」と「沈黙」のテクニックと、この「繰り返し」「比較・対比」のテクニックは、中途採用の面接においては、タイミングを見計らって使うと非常に有効ですが、新卒採用の場合は「態度が生意気である」と思われ、むしろ逆効果になりがちなので、利用するにあたっては細心の注意が必要です。
一説によると、人と人とのコミュニケーションにおいて、「言葉」の果たす役割とは実は一割にも満たないのだそうです。
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